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【検索用 もののけすとりっふ 登録タグ VOCALOID n.k うにちゃわん も 初音ミク 曲 曲ま】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:n.k 作曲:n.k 編曲:n.k イラスト:うにちゃわん(マイリスト) 唄:初音ミク 曲紹介 貴方の周りには、どんなモノノ怪がいますか? 曲名:『モノノ怪ストリップ』(もののけすとりっぷ) 歌詞 (動画より書き起こし) 理由もなくいらいらしちゃってるの ビタミン不足だ 首伸ばしては隣人チェックで 精が出るネ のっぺらな日々を恨み 吐き出したって 不幸自慢が止められない 分かっちゃいるのに もう 無理 もう やだ モノノ怪キミは眠らない 歪んでるリズムで躍りだす 百鬼夜行の最後尾に さぁ 並べ誇らしく いま 叫べおぞましく 怖 怖 怖 透け透けになって 怖 怖 怖 口なんて割けちゃって 怖 怖 怖 目も飛び出せば 怖 怖 怖 ほらドロドロ 裏でこそこそ悪口メドレー 採点はつける? 自己陶酔型の座敷語り うんざりだね 妬ましいスターの道 夜な夢も見る 引っ掻いた傷はアイデンティティ 極楽浄土に 今 すぐ 逝き 隊 モノノ怪ボクは愛されたい 一つ目で純情な一途です 百花繚乱な魂で この世を震わせてみろ けたたましく やぶれかぶれでも良いじゃない 怖 怖 怖 ゆらりと光って 怖 怖 怖 鼻だって伸ばしちゃって 怖 怖 怖 猫に化ければ 怖 怖 怖 好きでいてくれる? モノノ怪たちが騒ぎ出す 羨ましい人間に忍びよる あの子に気づかれる為に ねぇ少しは振り向いて モノノ怪キミは眠らない 歪んでるリズムで躍りだす 百鬼夜行の最後尾に さぁ 並べ誇らしく いま 叫べおぞましく 怖 怖 怖 透け透けになって 怖 怖 怖 口なんて割けちゃって 怖 怖 怖 目も飛び出せば 怖 怖 怖 愉快に壊れそうだ 怖 怖 怖 ゆらりと光って 怖 怖 怖 鼻だって伸ばしちゃって 怖 怖 怖 猫に化ければ 怖 怖 怖 愛してくれる? コメント いいね!! -- 名無しさん (2016-10-14 19 40 52) 新曲来たー( ゚д゚) -- 名無しさん (2016-10-14 20 09 13) ハマるー! -- 名無しさん (2016-11-03 20 27 35) ハマった!! -- 名無しさん (2016-11-15 20 50 43) すごい!いい曲!ハマった -- mizuki (2016-12-13 17 29 28) この歌ハマるわ~(^○^) -- 刺身 (2016-12-18 15 33 23) あー妖怪(・-・) -- 名無しさん (2016-12-31 17 17 36) いい曲すぎる -- 松っちゃん (2017-03-01 20 34 14) はまる以外の余地なしって感じ!! -- 名無しさん (2017-03-04 13 58 32) 町会議2019 徳島県 小松島港まつりでn.kさんご本人が歌っていて好きになりました(*´艸`*) -- ブタさん (2019-07-13 19 40 21) 名前 コメント コメントを書き込む際の注意 コメント欄は匿名で使用できる性質上、荒れやすいので、 以下の条件に該当するようなコメントは削除されることがあります。 コメントする際は、絶対に目を通してください。 暴力的、または卑猥な表現・差別用語(Wiki利用者に著しく不快感を与えるような表現) 特定の個人・団体の宣伝または批判 (曲紹介ページにおいて)歌詞の独自解釈を展開するコメント、いわゆる“解釈コメ” 長すぎるコメント 『歌ってみた』系動画や、歌い手に関する話題 「カラオケで歌えた」「学校で流れた」などの曲に直接関係しない、本来日記に書くようなコメント カラオケ化、カラオケ配信等の話題 同一人物によると判断される連続・大量コメント Wikiの保守管理は有志によって行われています。 Wikiを気持ちよく利用するためにも、上記の注意事項は守って頂くようにお願いします。
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登録日:2012/01/16 Mon 17 18 47 更新日:2024/04/18 Thu 10 28 48NEW! 所要時間:約 4 分で読めます ▽タグ一覧 モノノ怪 怪~ayakashi~ 本編より先に立った項目 櫻井孝弘 狂言回し 神谷浩史 薬売り 薬売りとは、アニメ作品『怪〜ayakashi〜』の1エピソード、『化猫』の主人公。 『モノノ怪』でも主人公を務める。 CV:櫻井孝宏(テレビ版)→神谷浩史(劇場版) 【目次】 ●外見 ●装備 ●退魔の剣を引き抜く条件 ●薬売りの遭遇したモノノ怪●化猫(妖〜ayakashi〜) ●座敷童子 ●海坊主 ●のっぺらぼう ●鵺 ●化猫 ●外見 白塗りの美青年で灰色の長い髪、尖った耳に隈取りのような化粧、蛾を意匠化した着物に薬箱を背負う、ごくごく普通の薬売りルックのお兄さん。 退魔の剣を抜くと、褐色の肌に金色の模様が浮かび上がった姿になる(通称ハイパー薬売り) ●装備 薬箱…合法な品ばかりだが、媚薬やら春画やら怪しげな亀の置物(首が伸び縮みする)なども入っている。 退魔の剣…抜くために条件があり、条件が満たされぬ状態だと大の男が本気で引っ張っても抜けない。物の怪を斬るための武器。 札…簡単な結界を張ったりするために使われる。 閉じた目が描かれており、モノノ怪の気配を感じると目が開く。 天秤…薬売りが背負う箱から何体も出てくる。モノノ怪を感知すると傾く。かわいい。 鏡…手のひらサイズの丸い鏡。一見普通の鏡だが、巨大化する。 作中において事件に巻き込まれ、事件の要因になった妖怪を倒す役割を担うが、前述の退魔の剣を引き抜くための条件により、狂言回しのような役割を担うことにもなる。 ●退魔の剣を引き抜く条件 形…妖怪の姿、その性質。今対峙している妖怪が何物であるかということ。 真…その妖怪が何故妖怪に転じ襲いかかっているのかの過程。 理…妖怪に転じさせた人の情念や怨念、縁など。 何故か作中の時間が経過していようと、彼が姿を変えることはなく、江戸時代頃から近代まで同様の姿で現れる。 (近代が舞台になる「化猫(モノノ怪)」では、その衣装からちんどん屋などと勘違いされることも) 坂井家若党であった小田島をからかうことが多いが、彼の必死の頼みに発奮したこともある。 ●薬売りの遭遇したモノノ怪 ●化猫(妖〜ayakashi〜) 化猫を参照。 このときはまだ、若干弱さを見せるようなキャラであった。 あと、割と口が悪い。 ●座敷童子 一晩の宿を求めて宿にやってきた薬売り。 遊廓を併設するその宿において、彼はモノノ怪の気配を感知する。 赤子の姿をしたモノノ怪に隠された真実。 悲しく重いその理を知り、彼は退魔の剣を抜く。 ●海坊主 旅の途中、商人が持つ船に乗船した薬売り。 そこで彼は、化猫事件で出会った加世と再会する。 だが、その船を怪異が襲った。魚頭の妖怪が船客に問いかける。 「お前が本当に恐ろしいものは、何だ?」 その問いに答えると、答えに関する恐ろしい幻覚を見せられる。パニックになる乗客たち。 そして薬売りにも問いが突き付けられる―。 彼が見据える、真のモノノ怪とは? 乗客の一人に隠された暗い過去とは? それが全て明らかになったとき、退魔の剣が抜かれる……。 ●のっぺらぼう 売っていた薬にいちゃもんをつけられ、投獄されてしまった薬売り。 そこで彼は、奉公先の一家を惨殺した罪で死刑になるという女性に出会う。 真実を問う薬売りだが、彼女は口を開かない。 そんな時、狐面の男が現れた。 彼女を助けようとする謎の男に、薬売りは翻弄される。 退魔の剣が反応しない、この男の正体は? そして、一家惨殺事件の真実とは? ●鵺 平安貴族の間で愛されたという、「東大寺」なるお宝。 それを巡る利き香勝負の場に、なぜか姿を現す薬売り。 優勝候補と目された男が姿を見せないまま、利き香勝負が始まる。 香にまったく興味のない素振りをする薬売り。 彼がこの場に現れた理由。 まったく顔を見せない、司会を務める女。 いつまでも現れない、優勝候補の男。 全ての謎が明らかになるとき、おぞましい化け物が姿を現す……! ●化猫 時代は移り変わり、文明開化の世。 初めて開通した鉄道の記念運行の場に、薬売りが現れる。 笹岡によく似た新聞記者や、加世によく似た少女らを乗せ、汽車は走り出す。 だが、乗客が異常に気づく。いつまでたってもトンネルから抜けないのだ。 やがて汽車は怪異に襲われる。 薬売りに聞かれるまま自らの罪を告白する乗客。 そして、彼はいつかのように呟いた。 「これは……化猫だ」 項目の、「形」と「真」と「理」を以て……追記・修正を、解き、放つ! △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- コメント欄 彼は一体何者なんだ? -- 名無しさん (2014-01-24 16 54 46) 明らかに時代を越えてますしねぇ…… -- 閲覧者 (2014-02-20 23 33 49) 或いは彼もモノノ怪の類なのだろうか -- 名無しさん (2014-02-20 23 59 19) 何故か彼を見て、斉天大聖 孫悟空を連想した。ハイパーモードの姿と退魔の剣のの顔が猿っぽい顔から -- 名無しさん (2015-04-02 04 02 41) 新作劇場版決定やったぜ -- 名無しさん (2022-06-18 21 17 53) 相談所に報告のあった違反コメントを削除しました。 -- 名無しさん (2023-03-02 08 41 26) 名前 コメント
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【カードナンバー】:TSE-021 【名称】:ネコのモノノ怪 【属性】:憑依 【コスト】:7 【変化値】:3 【テキスト】: ※このエフェクトはガーディアンに重なっている場合とサポートゾーンにある場合、サポートカードとしても扱う。 【TS後効果】コスト3 このエフェクトを、【名称「ネコの妖怪」 コスト3 TSパワー2 特徴「猫耳」「怪奇」】を持つサポートとして自分のサポートゾーンにアンタップ状態で移す。その後、このエフェクトが重なっていたガーディアンをゲームから除外する。 【フレーバー】:「ふぅ、数百年ぶりの外の世界じゃな」 【イラストレーター】:Ruins カードの説明、使用感 TS後効果でガーディアンを除外しながらサポート扱いでサポートゾーンに出せるエフェクト TS後効果は3コストだが3コストTSパワー2のサポートとしてアンタップ状態で移動してくるため実質消費は1コスト(むろん3コスト無いと使えないが)。 サポート扱いになる点を生かしてエフェクトの効果で相手ガーディアンに重ねればエフェクトに戻るためもう一度TS後効果を使ってガーディアンを除外できる。 使い方次第では『化ける』カードである。妖怪だけに。 拡張フレーバー
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「モノノ怪の形と真と理、お聞かせ願いたく候」 ただの薬売りを名乗った相手から放たれたその言葉に、無能と呼ばれた王は笑った。 モノノ怪 枕返し 一の幕 ――ペルスランはかくの如く語る。 全てのことの始まりはガリアに二人の王子が生まれたことでございます。 ジョゼフとシャルル。そう名付けられた兄弟は大層仲良く育ちました。 兄であるジョゼフが物心つくまでは…… 「そう、王族でありながら弟と違って兄は全く魔法の才能に恵まれなかった!」 ですが弟にはそんなこと関係なかったのです。周囲がなんと言おうと、シャルル様にとってジョゼフが最愛の兄であることになんら違いはなかったのですから、ですがジョゼフは別でした。 自分より優れた、己の理想とも言える弟に優しくされることに耐えられなかったのです。 ジョゼフは荒れていきました、日ごと部屋に籠もり酒と女と遊戯に溺れーーしかし一日中たりとも魔法の修練を欠かさなかったのは自らと弟君への凄まじい執念からでございましょう。 そんな折り、この国を揺るがす事件が起きたのです…… 「父は死の床で余を己が後継者に指名したのだ!世の民草、リュテュスの乞食どもにまで無能と知られた余がガリアの王だと!?」 それはこれまでなにも持たなかった彼にとって唯一弟に勝てる部分でありました。だからこそ零れものの玉座であると知りつつも言ってしまったのです。 「どうだシャルルよ、余こそがガリアの王だ!」 (おめでとう、兄さん) その一言を聞いた瞬間ジョゼフの心は砕け散ったのでしょう。最愛の弟を手に掛けしまった哀れな王はもはやもはやひきかえせない道へと足を踏み出してしまったのです。 「そうだ、余は弟殺しの狂王である。して薬売りよ、これを聞いても尚モノノ怪などと言う世迷い言をのたまうか?」 「まだモノノ怪の真をお聞かせ頂いておりませぬ故」 「真、だと?」 まさか、本当にお忘れになられたので御座いますか!? ならば仕方ありますまい、この老骨が墓の下まで持っていくつもりでございましたが全てお話したしましょう。シャルル様が残した真を…… あの日はやけに朝焼けが目に痛い朝でございました、いつも通りシャルル様を起こそうとシャルル様の部屋に向かった私めはそこで信じられないものを見たのでございます。 「さて、一体何をご覧になったので?」 涙ながらに抱き合うシャルル様とジョセフ殿下のお姿でございます。 「な、何を申すか!」 「これは異な事を。所詮戯言と笑ったのは貴方の筈、それよりもお気を強くお持ちください、さもないと……」 ーー返されますよ? モノノ怪 枕返し 二の幕 (ニハッ、ニハ、ニハハニニニニハハハッハ) 「な、なんだ今の笑い声は!?」 「どうなされました?話の途中に、急に立ち上がるとは」 「お前たち何を企んでいる!?」 「これは異なことを私たちは何も企んでなどおりませんし、それにーー企むのはあなたの十八番じゃありませんか」 失礼、どうやらほんとうに殿下はおぼえておられない様子、ならば続きを話させいただきましょう。あの日、あの時私めが見た光景のことを。 (悲しまないで兄さん、ガリアの為にはこれが一番いいんだから) ――ペルスランの語りと共にジョゼフの脳裏に記憶にない光景がいくつも閃いた。 「なんだ、なんだこれは」 そう、私めが見たのでは互いにに抱き合い、涙を流すシャルル様とジョゼフ殿下の姿なのです。 (これ以上オルレアン公派を押し留めることはできないんだ、僕が頭にならなければ間違いなく計画もなにもなく自分たちだけで蜂起する。そうならばこのガリアを真っ二つに割る内戦が起きる) そしてお二人が語る内容は、シャルル様暗殺の筋書きでございました。 「うっ、嘘を、嘘を申すな!」 誓って嘘では御座いません。 (頼んだよ兄さん、僕には政の才能はなかった。だからこの命兄さんに捧げよう、だからお願いだ僕が愛するこの美しいガリアが二つに分かれて争うハメにだけはならないようにして欲しい) シャルル様は自ら進んで死にに行ったのです。 刺客の正体が分からなかったのも当たり前の話で御座います、凶弾に倒れたシャルル様ご自身が魔弾の射手であろうとは誰も想像だにしますまい。 (ニハッ、ニハハ、ニハハ!) 「五月蝿い、やめろ!もうその笑い声をやめろ、やめろっ!」 (ニハッ、ニハン、ニイハ――ニイハン) 「やめろ、やめ、やめめめめ」 ――くるりとジョゼフの頭の裏返る、そこに張り付いていたのは人の顔の胴体を持つ小鬼であった。 (ニイサン、にいさん、兄さん、兄さん!兄さん!) ――最愛の弟の顔をした小鬼が、くるりと首をねじ回す。 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 しかしそれは所詮幻覚。 自身が生み出した夢、幻。 だが今ので分かってしまった、そうだ――余は……いや俺は…… 「そしてあなたは弟君の願いに従い、王としてこの国を導いた」 そうだ、無能と言われても気にならなかった。どんな汚いことも進んでやった。すべては、全ては…… 「けれどやがて耐えられなくなった」 「なん、だと……」 「呷ったのでしょう?エルフの毒薬を」 そうだ、俺は耐えきれなくなって呷ったのだ。心を狂わせるエルフの猛毒を、だが…… 「だがそれでもあなたは狂えなかった」 カチン モノノ怪 枕返し 大詰め 「それでも、あなたは狂えなかった」 そうだ、それでも俺は狂えなかった。 シャルルへ向けた親愛の情をどうしても捨て去ることが出来なかったのだ。 「その結果貴方は」 最愛の弟を一方的に謀殺したと言う偽りの記憶をでっち上げ。 「心に満ちる愛情を、憎しみだと誤魔化して」 大切なものを失った傷を見ないようにして 「狂ったふりで」 非道なふりで 「孤独なまま、王として君臨し続けてきたのですね」 そうだ、それこそが俺の"虚無" 「それこそが枕返し」 心に蟠る、石の如く固まった妄念の結晶 「貴方はそれを裏返された」 愛おしい愛おしいシャルル、お前を殺したままおめおめと生き続けることなど出来ようか。 「だから貴方は」 だから俺は 「「毒の力を借りて、己が心を捻じ曲げた」」 カチン ――その言葉を呟いた瞬間、ジョゼフの首が真横に折れた。 ――べきべきと音を立てながら曲がる曲がる 「こ、これは一体な、何が!?」 ――ぐるんぐるんと首が回る、ジョゼフの頭が裏返る。 「毒の沼の底に沈めた弟への愛、腐り果て、虚無の石で封じて尚沸きあがろうとするその思い」 気づいてしまえば立ち行かぬその思いを裏返す欺瞞こそこのモノノ怪の正体。 ――やがてジョゼフの首の回転は止まった、そこの後頭部に四本の腕と四本の足でへばりついているのはシャルルの顔。 ――聖人の如く笑みを浮かべたシャルルの生首が、ジョゼフの頭と溶け合っていた。 「二人で決めていた弟の死に耐え切れず貴方はエルフより授かった毒を煽った」 ――それが真 「毒によって凍り付いた心をごまかす為に、あなたは弟への愛情を憎悪と偽った。その欺瞞に挟まれた貴方の心に妖が取り付いた」 ――それが理 シャルル! シャルル!シャルルゥゥ! ニハ、ニハニハニニニハハハ、ニィィハァァァーン! 「そして、その最愛の弟を裏切り毒へと逃げたことこそが」 シャルルよ、シャルルよ、愛しい我が弟よ。 ――モノノ怪の形 愚かな兄を、許せ カチン 「(うぉぉぉおおおおおおおおおおおおおお!)」 「枕とはすなわち貴方の想い、それを返すとは己のすべてを裏返すことに他ならない」 「これは一体!? ジョゼフ殿下が捲れて……」 「肉体も、魂も、心さえも」 「ひぃぃぃぃぃぃ」 「すべてが裏返り、愛憎さえ一つになるその間隙に、枕返しは枕を返す」 (ニハァァァアアアアアアアアアアアアアアア!) 「もう一度返されますか?」 「否」 「本当に?」 「否否否否否、断じて否!」 「ほう……」 「この思い気づいてしまえば立ち行かぬ! 俺は間違っていた、間違っていたのだ。シャルルは――聖人でもなければ君子でもなかった。ただの俺の愛しい弟だった」 「俺の心だけならばいい、だがシャルルの本当の姿まで穢すのならばこんな毒などいらぬ! この俺の手で枕返しなど八つ裂きにしてくれるわ!」 「ならば解き――」 (――兄さん) 「……放つ!」 『解き放ぁぁぁぁぁぁぁつ』 モノノ怪 枕返し 終幕 すべてが終わった後、そこには膝の上に眠る姪を乗せたまま玉座に腰掛けるガリアの王の姿があった。 眠るとも死んでいるともつかないその顔は、これまでペルスランが見たことないほど穏やかで優しげだった。 「やれやれ、面倒臭い」 そう言うと薬売りが商売道具の入った行李を担ぎ上げた。 「さて帰りますか……」 その時行李の引き出しから天秤が地面に音を立てて落ち、そしてジョゼフの時とは比較にならないほど大きく傾いた。 その様子に薬売りは若干驚いたような表情を見せると、ゆっくりと口元を緩めた。 「成程、毒を垂らした杯は二つ。どうやらこのもう一匹、厄介なモノノ怪がいるようですね」 ――次回、女郎蜘蛛 続――かない! 「モノノ怪」より薬売り
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モノノ怪 一覧 怪~ayakashi~ 化猫 第一話 Online Videos by Veoh.com 第二話 Online Videos by Veoh.com 第三話 Online Videos by Veoh.com 連続放映版 座敷童子 第一話 Online Videos by Veoh.com 第二話 Online Videos by Veoh.com 海坊主 第三話 Online Videos by Veoh.com 第四話 Online Videos by Veoh.com 第五話 Online Videos by Veoh.com のっぺらぼう 第六話 Online Videos by Veoh.com 第七話 Online Videos by Veoh.com 鵺(ぬえ) 第八話 Online Videos by Veoh.com 第九話 Online Videos by Veoh.com 化猫 第十話 Online Videos by Veoh.com 第十一話 Online Videos by Veoh.com 第十二話 Online Videos by Veoh.com
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※この小ネタはいろいろとキャラが違ったり、設定が食い違っていたり、一五巻を投げっぱなしジャーマンですのでそのあたりに嫌悪感を催す方はまわれ右をお願いいたします。 それでも良い方は気合いでダ○ターンカムヒア! 微妙に前作と話が繋がってたり繋がってなかったりします、前作のモノノ怪『枕返し』をお読みいただくとより一層カムヒア! するかもしれません。 それでは――今夜も吐息残すだけカイッ! 前回のあらすじ 狂王ジョゼフの失踪によってにわかに動き出すオルレアン公派、もはや担ぐべき主を失った彼らはシャルルの娘であるシャルロットを担いで内乱を起こそうとする。 それを嫌ったタバサは友人たちと共に母を連れ出そうと深夜こっそりと実家を訪れるが…… 愛と憎悪は表裏一体とよく云われる。 “思い”と言う形の対極にあるのではない、ほんのすぐ側で隣り合う双子の兄弟なのだと。 ならば憎悪の反対はなんだと問われれば、帰ってくる言葉は“無関心” 憎しと思うことと愛しと思うことは同じく一つのことに執心していると云うこと。 ならばその裏側にあるのは“どうとも思わない”と云うことなのだと。 成程、的を射た内容だ。 ではそうなると分からないことが一つ。 愛と憎悪が隣り合わせの兄弟だとしたら、その狭間には一体何があるのでしょうね? そうそう兄弟と言えば、あの二人も…… モノノ怪――絡新婦 さぁさぁお立会い、人形劇が始まるよ! そこ行くご婦人も鼻水垂らしたがきんちょも、乞食も骨拾いもみなみな気軽によっといで。 なんたって御足はただ、無料、ゼロの大盤振る舞い! 暇な奴は見ないと損をするぜ! 此度の演劇は女郎蜘蛛、出来そこないと馬鹿にされた一人のメイジが呼び出した薬売りと狂ったご婦人のお話だ。 狂気と凶気の入り混じるおぞましき怪奇談、オルレアンの屋敷に這い寄るモノノ怪の物語! おっとバラしちまった、そうさこの話はまんざら嘘って訳でもない。 ちょうど一昔前のきな臭かった時代に、この国で実際あった話なのさ。 なに? モノノ怪なんざいる訳がないだと? そんなことはない、モノノ怪はいるさ。人の心が闇で淀んだときその奥底から湧きあがってきやがるのさ。 だからこれはモノノ怪の話、馬鹿共が何も考えずに革命だ革命だ叫んでいた時代のガリアに血の雨が降ったあの時代の。 くだらない愛憎劇の形と真と理の姿なのさ。 さて、そろそろ始めようか。 むかし、むかしあるところに…… 絡新婦――序の幕 ぴちゃりと水音がした。 続いて首筋に感じる冷たい感触。 部屋のなかなのに何故? 雨漏りでもしているの? そう考えて天井を見上げたルイズは引き攣るように身を強張らせた。 「ひっ!?」 そこには死体が引っ掛かっている。 「なによこれは!?」 いくつも、いくつも、いくつも。 数は十か二十か、それとも星の数ほどか。 元の形を留めぬ肉の群れ達は、まるで一枚の影絵のよう。 部屋の中央から八方に伸びるその形は、蜘蛛。 ふらふらとその八本の足を震わせる女郎蜘蛛。 「これは難儀な……」 風に震えるいくつもの死体がその体の血をまき散らし、瓦礫だらけの地面に落ちた滴がしゃしゃしゃしゃと笑い声のような音をかき鳴らす。 憂いに満ちた声でその薬売りは言った。 「あんた――なんでこんなところに!?」 「あなたは確かルイズが召喚したエルフじゃない、なんでこんなところに居るの!」 ひゅんと音を立てて薬売りは傘を振った。 「エルフと言うのは正しくありませんね」 傘ははらりといくつもの札にばらけ散り、張り付いていた血をを足元に吹き飛ばした。 「私はただの薬売りですよ」 「そ、その薬売りがなんでこんなところに来るのよ!」 「それがですね、心を狂わすエルフの毒薬の解毒薬のご所望があるとのことで」 薬売りの言葉に真っ先に食らいついたのはキュルケだった。 「本当!?」 親友の顔に笑顔を取り戻すことが出来るかもしれない、その可能性はキュルケは飛びついたのだ。 「ええ、効くかどうかはわかりませんがね」 そうして薬売りは背中の行李から徳利型の瓶に入った紅玉色の薬を取り出した。 「此処に、こうして」 「買うわ!」 そう言って瓶を掴もうとしたキュルケの手は空を切り、薬売りはルイズ達に背中を見せる。 「なによ! 此処まで来て焦らすつもり?」 「いえ、そうではなく」 その時オルレランの屋敷に響き渡ったのは、血を吐くような悲痛な叫び声。 「どうやら、手遅れだったようで」 パンパン さぁてここいらで一息休憩だ、そこのずっと小便を我慢してた坊主、そうお前だお前。 今のうちに行って来い、何も言わずにふらっといなくなったりなどせんさ。 とりあえずここいらで登場人物の紹介といこうか、まずはこっちの桃色の毛をした絶対に嫁さんにはしたくない感じの人形が『ルイズ』 次にこっちの牛みたいな乳をした人形が『キュルケ』 そしてその横の蒼い髪の人形がこの物語の主役、『シャルロット』だ。 こいつはえらく不遇な生い立ちをしていてな、彼の有名な『無能王』によって跡目争いで父を殺され、挙句母までエルフの毒薬で狂わされ。 『タバサ』と言う偽名を名乗って母を助けるための人形になろうとしてきた、哀れな娘だ。 そんな人形娘に襲いかかるのは果たしてどのような凶事であろうか? さぁさぁ二幕がはじまるぞ、近くばよって目にも見よ! 遠くあるならば耳に聴け! その館にて猛り狂う怪異の形と理と真。 その幕開けから幕引きまでをな! 絡新婦――二の幕 もしこの場に詩人がいればその部屋の様子をきっとこう評したに違いない。 積み重なる死体と死体と死体がまるで地獄のゴミ捨て場のようだ、と。 血に濡れた寝台の上にうず高く積まれた数知れぬ死体はこの屋敷を襲った傭兵たちのものだ。 簡単な依頼、詰まらない割に入りのいい仕事。 そう思ってラグドリアン湖のほとりを大挙してやってきた彼らは無残な姿を晒すことになった。 ぐちゃぐちゃ、ぐちゃぐちゃ、ぐっちゃぐっちゃ おそらく戦場で死んだ方がまだ赦しがある。 少なくとも人として死ぬことが出来ただろうから。 かつて一人の狂わされた女が人形と共に横たわっていたその寝台の上には、無数の死体とそこから捏ねあげられた肉団子と共に、一匹のモノノ怪が佇んでいる。 「あ、ああ……」 ぐちゃぐちゃを不快な音を立てて肉団子を貪り食っているのは巨大な一匹の蜘蛛だ。 いや食べているのではない、八本の足を器用に動かしながら一度咀嚼した肉を捏ねまわしぐちゃぐちゃの小さな肉団子にしてから、その手の一本に持った人形の口へと押し当てている。 勿論人形は人肉団子など食べられない、だが脆くなり破けた人形は口に当たる部分がその体内に肉片を飲み込んでいく。 肉を詰め込まれパンパンに膨れ上がった人形が足から腹から肉をはみ出させた姿は、グロテスク以外の何者でもない。 「ひっ!?」 やってきたキュルケ鋭い悲鳴、それが気を引いたのかゆっくりと蜘蛛はその八つの眼を二人へと向けた。 「キュルケ!」 「シャルロットォォォォォ」 我に帰ったタバサがキュルケの手を引いて走り出すのと、蜘蛛が金切り声の雄叫びを上げるのは同時だった。 蜘蛛は優しく人形を肉の布団に横たえるとその体を大きく伸ばし、壁に八本の足を這わせて走り出した。 その蜘蛛の背中には一人の女の顔が張り付いている。 逃げている途中でタバサはそのことに気がついた。 「母さま!」 フライの魔法を解き、その化け物に走りだそうとする。 そんな親友をキュルケは必至で押さえつける。 「馬鹿っ、死にたいの!」 力ずくで抑えつけても尚元来た道を戻ろうとするタバサにキュルケの心は焦る。 まだ距離があると言ってもモノノ怪の動きは極めて素早い、見るのもを惑わすような動きで這い寄る蜘蛛は二人を目指す。 「母さまっ!母さまっ!」 「シャルロットォォォ、殺ス、シャルロットを傷つける者、殺ズ、殺ズゥゥ!」 狂ったように吠えるその顔が唐突に爆発した。 「キュルケ!タバサ!」 「こちらへ!お早く!」 壁に掛けられたシャルルの彫像画をペルスランが破ると、その下から現れたのは堅牢な鋼の扉。 それに手を掛け開けようとしたペルスランは焦った顔で叫び声を上げる。 「錆びついている……くそっ、開け、開け!」 力任せに扉を引くペルスランの右腕に差し出される手。 それは先ほどから黙って状況を傍観していた薬売りのものだった。 「いっせーの、でいきましょう」 「はっ、はい! それでは」 ルイズも混じり鋼の扉に手を掛ける。 「いっ」 「せー」 「の」をルイズが言おうとした瞬間、重い音を立てて扉は開いた。 三人で引っ張っていたのとは逆の方向へと向かって。 「五月蠅いな、おちおち寝られやしない」 そう言って現れたのは痩身蒼髪の見目麗しい美青年。 破り捨てられた肖像画と同じ姿の、全く年老いた様子のない、若きガリアの王子がそこに居た。 「シャルル、さ……ま?」 「やぁペルスランか、久しいね」 そう言ってシャルルは笑うと、その後方に視線を移した。 「どうやらとんでもないことになっているらしいね、とりあえず入るといい」 そしてシャルルは驚く一同を全員を迎え入れ、地下室に響くその麗しい声で。 「ようこそ我が宮殿へ、なんにもないところだがなんとかお茶くらいは出せるだろう」 その言葉と同時に扉は閉まりすべては全き闇へと包まれた。 隣にいるものが誰かすらわからない、完全なる闇。 扉の向こうからはすさまじい力で扉を叩く音が何度も響いていた。 だが薬売りによって結界が施された扉は幾度打ち抜かれようともびくともしない。 ――ただ徒労な音だけがラグドリアンの畔に木霊する。 「ぼくはね、人形さ」 そのシャルルの姿をしたものはそう名乗った。 「スキルニル、本当に便利な代物だよね。血を与えた相手の能力をそっくりそのまま写し取り再現する」 シャルル以外の者たちは何も言えず。 ただ陽気のシャルルの声だけが響く地下室を、さらに地下へと向かって降りて行く。 「もっとも最初に与えられた役割以上のことは“やろう”と考えられないのが欠点かな?」 「最初に与えられた役割?」 「そうさ、それがぼくの存在意義そのものだ」 そうしてシャルルはタバサを抱きしめた。 「シャルロット――ぼくの愛しい娘、君を守ること」 「父さま……」 感動の親子の抱擁、それに水を差す声が一つ。 「何故、今頃になって?」 それは言われてみれば疑問に思って当然の疑問であった。 妻が毒を飲まされ、娘が死地へと赴かされても、何故平然と屋敷の地下で一人のチェスに高じていたのか? 「ぼくは、ぼくの本体はやっぱり兄さんを信じていたんだろうね」 嘆く声は一見すると悲しそうでいて、しかし人形らしく全く感情が籠ってはいない。 「ぼくが居なくてもきっとガリアを素晴らしい国にしてくれる、愛しい人たちを守ってくれる――だからもともとこのぼくはその兄さんに万が一のことがあった時動きだすように作られたんだ」 そしてシャルルはくつくつと笑った。 全部手遅れだと、兄の脆さに気付けず保険として用意した自分の起動条件を定めた己の愚かさを。 人形は嗤い、そして薬売りに向き直った。 「さて次は君の番だ、あの怪物は一体何なんだい?」 「あれは――モノノ怪」 薬売りは闇の奥からシャルルに向かって告げる、その声はどこか険があった。 もっともそれもいつものことだ。 この異様な風体をした人物が何を考えているかなど、そうそう周囲の人間に推し量れるものではない。 「モノノ怪を為すは人の因果と縁、モノノ怪は――斬らねばならぬ」 「斬らねばって、あなたあれが倒せるの!?」 薬売りは背負った行李から一本の剣を取り出した、柄に赤い鬼の顔が彫りこまれたその剣は見た限り特別な魔法がかかっているようには見えない。 「これは退魔の剣、モノノ怪の形と真と理、その三つにあればこの剣でモノノ怪を斬ることができるでしょう」 「真と理?」 「ええ、真とは事のありさま、理とは心のありさま。それがなければ――剣は抜けない」 故に 「絡新婦の真と理お聞かせ願いたく」 おう、がきんちょ驚いてるな驚いてるな。 此処がこの人形劇の一番の勘所だからまぁ当然か。 殺された筈のオルレラン公が語るモノノ怪の正体と驚くべき真実。 死を前にした母の想いが人形に宿り、あの怪異を生み出したのだろうと。 だが何故シャルルのスキルニルはそんなことを知っている? 気になるだろう? 気になるよな? だったら最後まで聞いていけ、この惨たらしくも切ない人形達の劇の結末を! ――絡新婦 三の幕 「成程、確かにそれならば辻褄は合う」 「タバサを守りたい、守らなくちゃそんな思いがあんな形で噴出したってこと?」 「そうとしか思えないね、もし本当にあの化け物が――ぼくの愛する人の心を因果にして現れたのならば」 悲しそうに言うシャルルを薬売りは睨みながら、退魔の剣をずいと差し出した。 「まだ、足りない」 「足りない?」 「なんだ、何を隠し……」 ものすごい爆音と共に地下室に陽光が射した そこからゆっくりと差し込まれたのは蜘蛛の足、いくつも差し込まれたそれがゆっくりと入口を押し広げゆっくりと中へと身を滑り込ませる。 「来たわっ!」 シャァァァァアアアアア! 吠え猛るその顔先に巨大な氷柱が叩きつけられた。 氷柱は蜘蛛の体に突き刺さると急速に成長し、地下室の入口ごとオルレランの屋敷の天井をまで貫く氷の針毬となった。 「行こう、これでしばらくは追ってこれないだろうから」 杖を構えたシャルルはこともなげにそう言った。 そのシャルルを薬売りは厳しい目つきで睨んでいる。 「ところでどうしたんです?」 めきりと氷が軋みをあげる。 「その額は」 陽光に照らされたシャルルの顔。 その額には六つの光が灯っていた、紛れもなく蜘蛛のものだと分かる蒼い光の複眼が。 シャルルは驚いたように自分の額を抑え、そして…… 蜘蛛がシャルルの体を捉えたのは次の瞬間のことだった。 「父さま!」 他の人間が止める間もなく蜘蛛はシャルルに食らいつき地の底に引きずり込もうとする。 キュルケが、次いでタバサが怯えるように杖を構える。 「離しなさいこの化け物!」 「父さまを、返せ!」 炎の弾丸と巨大な氷の槍が女郎蜘蛛へと突き刺さる、体を蝕む痛みに女郎蜘蛛はその腹にある顔を歪め、悲痛な叫び声をあげた。 いくら父を救うためと言えど母の顔をしたものを傷つけることは辛いのかタバサは悲痛な表情を見せる。 その瞬間を薬売りは確かに見た。 シャルルの顔が嬉しそうな笑顔に歪むのを。 「まさか、モノノ怪の真は……」 女郎蜘蛛の血の飛沫が飛ぶ、その泡沫に薬売りは一つの祈りを見た。 「くだらん」 周囲には数限りない人形の群れ、可愛らしいぬいぐるみから、鉄で出来たような材質のもの、護謨のような質感の存在も見受けられる。 人形相手の人形劇、これまで読みに読み切った流れで未来を演じてきたがここまで予想通りに運ぶと本当に下らないと言うよりない。 だがおかげで暇は潰れた。 「そろそろ幕を引きにいこうか、出番が終わった役者がいつまでも舞台に立ち続けるのは些か見苦しいからな」 そうしてジョゼフは椅子の上から重い腰を上げた。 土蜘蛛 大詰め 「ふはは、ふははははは!」 シャルルは笑っている、その杖の先からいくつもの氷槍を打ち放ち、まるで昆虫採集の虫のように壁に縫いとめられた蜘蛛を串刺しにしながら。 楽しげに楽しげに笑っている。 その姿を見る者たちは一様に顔を蒼くし、その惨劇を見守っている。 「父、さま?」 「なんだい? シャルロット」 あたりは闇、故に優しく微笑んでいるであろうその貌は誰にも見えない。 見えないと言うことは“存在”しないのと同じこと。 それはまるで幽霊か、或いは…… 「そこまでにしておけよ、偽物よ」 闇の奥から朗々と朗々と、響き渡る声。 「シャルルの顔でこれ以上好き勝手するのは、さすがに許せんぞ?」 魔法のカンテラを右手に持ち、歪んだ王冠を面倒そうに腰に吊るし、赤いマントを翻し地の底から向かってくるその男はジョゼフ。 無能とうたわれる、ガリアを統べる一人の悲しき王だった。 「馬鹿な、何故お前が此処に!?」 何故彼がこんな場所にいるのか? その理由は薬売りが知っていた。 「随分と遅かったではないですか」 「無茶を言うな、隠遁先のアルビオンから竜籠を飛ばしに飛ばして挙句虚無の呪文の“加速”まで使ってきた助っ人になんと言う言い草だ」 そう言ってからジョゼフは大笑した。 「もっとも顔を出す機会を逸したせいで、出番まで随分と暇つぶしをすることになってしまったがな」 「まったくあなたは悪ふざけが過ぎる」 「それが俺だ――仕方あるまい。さて偽物よ、お前の正体見せて貰おうか」 そう言ってジョゼフは右手のカンテラを突き出した、闇の中に照らし出された真白い顔、端正なその後頭部からは長い長い角が伸びていた。 ――否、それは足。 シャァァァァアアア にやりと笑ったシャルルを威嚇するように蜘蛛が吠える、その叫びは風となり、シャルルの纏ったマントをはためかせた。 光に照らし出されたそこにあったのは――顔。 「母、さま……?」 それは確かにシャルロットの母親の、オルレアン夫人の顔であった。 もっとも実の子であるタバサまでが一瞬とは言え母と断じきれなかったのは、その憎悪に醜く歪んだ醜悪な表情が原因だった。 ところどころからははみ出した蜘蛛の足や髪、そして破れた身体から覗く女の顔。 ずるりと隙間から顔を突き出した彼女は歪んだ顔でタバサを睨みつけ、その八本の腕を伸ばした。 「死ねっ!」 タバサの首に黒と黄色の毒々しい腕が首に纏わりつき、力の限りに少女の命を奪わんと締め付ける。 愛した母の裏切り、その事が信じられず、起こった状況に全く理解が追い付かず、タバサは祈るように。 「母、さ…ま……」 手を、伸ばす。 「父さ、ま……」 視界の端には蜘蛛、氷で串刺しにされたそのもう一匹の蜘蛛が吠えた。 ――シャァァァルロットォォォォ 巨大な蜘蛛の背中、母の顔をした背中が二つに割れる。めきりと肉を引き裂き紫色の体液をまき散らしながら、蜘蛛の胎内よりソレは生まれた。 「ルーを返せ」 開口一番ソレが言ったのはその言葉。 紫の血で汚れた人形はその身の丈ほどもある剣を右手に持ち、黒いボタンで出来た二つの眼でまっすぐにタバサを見つめていた。 その人形の名前もまた『タバサ』 一人の母親が、一人の娘へと贈った、一つの祈りが込められた人の形をした想いの形。 人形は一足飛びにタバサへと駆け寄ると、その首に絡みついた蜘蛛の足と両断した。 痛みに叫び声を上げる女郎蜘蛛へ向かって、人形は言った。 「あの娘はお前の妻なのか?悪い竜はイーヴァルディに問いかけます」 パンパンに肉を詰め込んだ人形の手足が伸びる、子供が大人になる姿を早回しで見るかのように、タバサと名付けられた人形は一体の屈強な剣士へと姿を変えていた。 あたかも、自身が語る“イーヴァルディの勇者”の主人公のように。 呆然と薬売りはつぶやいた。 「これは、土蜘蛛――なのか?」 それがもう一匹のモノノ怪の形、この屋敷を襲った怪異の形だった。 「違う」 人形は、いや土蜘蛛は薬売りに一つのロケットを手渡した。 受け取った薬売りはそのロケットを開く、職人の手によって細やかな細工が施されたそのロケットの奥には、三人の家族が仲睦まじく笑いあうと言う構図の肖像画がはまっていた。 だがその肖像画からはシャルルが抱き上げている幼いシャルロットの顔が、爪らしき傷によって偏執的なまでの執拗さで削り取られている。 おぞましさを誘う異様な光景。 「これは……」 「女郎蜘蛛の、理」 かちん 微かだが、確かに。薬売りはその言葉を聞いた。 「なんの関係もない。ただ、立ち寄った村で、パンを食べさせてくれただけだ」 そう言って再びイーヴァルディの勇者の一節を高々と読み上げると、土蜘蛛は女郎蜘蛛へと向かっていく。 「これが理なら、真は……」 「エルフの薬か」 かちん ジョゼフの言葉に答えたのは退魔の剣。 それがジョゼフの推察が正しいことを告げていた。 「あれは、人の心の有様を裏返す薬だった」 「愛を憎悪に、憎悪を愛に、心の有様はそっくりとひっくり返す毒」 「そうだ俺は、シャルルから家族からの想いを奪ってやろうと……」 「それでぼくは命を賭けるんだ!」 高々と告げる言葉は風車に挑むドン・キホーテの如く。 まるで与えられた劇の台本をなぞるように土蜘蛛は地を蹴った。 女郎蜘蛛はそれを迎えるように五本になってしまった毛だらけの腕を広げる。 「愛してる、愛してるわシャルル!」 そう言いながら体液を零す女郎蜘蛛に向かって土蜘蛛も突進し、その身体を串刺しにされながらも蜘蛛の顔へと剣を突き立てた。 その剣の煌めきに、薬売りは一瞬忘我する。 束の間の白昼夢、そこで出会ったのは若い一組の蒼い髪の夫婦だった。 二人はラグドリアン湖を望む小高い丘の上で、草の絨毯に腰を下ろし、穏やかな午後の時間を楽しんでいた。 『もうあなたったら、私のお腹に夢中なんだから』 『しょうがないさ、子供が可愛くない親なんていないんだもの』 『まるで子供みたい、名前はもう決めてあるのよね?』 『ああ、男の子だったらタバサ、女の子だったらシャルロットにしようと思う』 『そう、じゃあ片方の名前をこのお人形に貰っていいかしら?』 『それはいいけど、何故?』 『だって守ってくれそうでしょう? 大切な私たちの子供を』 『そうだね、あーあほんと早く生まれて来ないかな、可愛い可愛いぼくらのあかちゃん』 『ふふ、けれど妬けちゃうわね。我が子ながらあなたにそれほどまで愛されているなんて』 『もし自分の子じゃなかったら、嫉妬で縊り殺しちゃうかもしれないわね』 「これ、は……」 一瞬で場面は変わり、暗く狭い暗黒の空間のなか一人の青年が薬売りの前に立っている。 『これが、土蜘蛛の真』 必要なんだろう? そう言って青年は薬売りの右手の剣を指差した。 『斬ってくれ、彼女と一緒に』 疲れ果てた声に薬売りはゆっくりと瞼を閉じ、そして見開いた。 「承知!」 薬売りは退魔の剣の柄に手をかけ、 「ならば解き!」 引き、 「放つ!」 抜いた! ――とぉぉきぃぃはなぁぁぁぁぁあああああつ 絡新婦――大詰め 「これじゃない、これでもない」 ジョゼフは片っぱしからオルレアンの屋敷をひっくり返していた。 「これも違う――お、これか?」 さんざん散らかした末に寝台の下に奇妙な鍵穴を発見、ロケットからこぼれ出た鍵を差し込んで回すとかちりと音を立てて鍵ははずれた。 出てきたのは一冊の日記帳だ。 「ええとなになに、愛しいシャルロット……」 愛しいシャルロット、もしあなたがこれを読んでいると云うことはもう母はこの世にはいないでしょう。 それが自殺か、あなたの手によってかはわかりませんが、しかしせめて母として最後の矜持してあなたに罪の意識を残したくありません。 ですからこの言葉を残しておきます。 すべてのことの始まり、と言っていいかは分かりませんが元凶とでも言うべきものがいるとするならば――それはおそらく私でしょう。 貴女が私の体に宿ったとき私は喜ぶと同時に思ったのです。 ――あの人の愛が私以外に注がれるなど我慢できない。 勿論くだらない嫉妬です、ですがそのおぞましい感情は日に日に私のなかで大きくなっていきました。 少しでも気を許せば“母”ではなく”女”として行動してしまいそうになるほどに。 だからせめてあの人とあなたの前でだけは、必至で良き母たろうと己の心を押し殺してきました。 汚い心は夜な夜な地下室に押し込めて、あなたの姿をしたスキルニルをバラバラにすることでなんとか心の平衡を保っていたのです。 それが崩れたのはあの毒を呷った日から。 狂った憎悪はずっとあなたに与えてあげたかった愛情に、欠片ほどあった親愛はいたずらな悪意に。 人の心を裏返すの毒の力を借りて初めて、私はあなたの母となることが出来たのですが。 ですが時間がありません、もしこの薬の効果が切れれば私はきっとあなたにひどいことをしてしまいます。 狂気に満ちた愛と憎悪の捌け口にしてしまいます。 そんなことは耐えられません、だから――私は毒を呷ります。 地下室に隠してあったあなたを狂わすための蜘蛛の毒、愚かな女が用意してしまった過ちをこの肉体で償いましょう。 ああ、あの毒を飲んで初めてわかりました。 母は確かにあなたを嫉妬し憎悪していましたが、それと同じくらい愛してもいたのです。 ――だって毒によって狂っている今ですら、貴女が泣きじゃくる姿を想像すると楽しくてしょうがないのですから。 最後のページを読み終えたタバサはゆっくりとその日記帳を閉じた。 「彼女がこれほどの闇を抱えていたとはな……」 沈鬱にジョゼフは言った。 「まったくあいつも罪な男だ」 そう言ってジョゼフは空を見上げた、今頃天国でにゃんにゃんやっているのだろうか? そう考えると無性に腹が立つ。 「そう思わないか? シャルロット――シャルロット?」 「嘘、こんなのは嘘、嘘、うそ、うそうそうそうそうそうそ」 「おい、シャルロット!?」 机の上に置いてあった天秤がゆっくりと傾いて行く、これは不味い兆候だとジョゼフは思ったが、しかしどうすればいいか全く分からない。 「うそうそう――痛っ!?」 その言葉が止まったのは二匹の蜘蛛ががりりとタバサの手を咬んだから。 タバサが見つめる前で二匹の蜘蛛は揃って天井裏へと消えていった。 「全く、夫婦喧嘩は犬も食わないと言うのに」 「犬は食わなくてもシルフィなら食べるのね、どんと来いなのねきゅい!」 そのはるか頭上で溜息をつく薬売りが、一人。 見下ろせば溢れたラグドリアンの湖が形作る巨大な一匹の蜘蛛。 それがもそりと体を揺らし、オルレアンの屋敷に手を伸ばした。 「全く、面倒くさい」 その肩には二匹の蜘蛛が身を寄せ合って座っている。 仲睦まじく、まるで本当の風のように モノノ怪『絡新婦』 了
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薬売り ★5 光 【魔法使い族・効果】 ATK1900/DEF2200 手札を一枚捨てることによって 悪魔族、アンデット族モンスター一体から 受ける戦闘ダメージを全て0にする 薬売りの天秤 【通常罠カード】 相手の悪魔族・アンデット族モンスターが攻撃宣言した時に発動可能 デッキから一枚、攻撃宣言したモンスターと同じレベルのモンスターをフィールド上に 特殊召喚する。この効果によって特殊召喚されたモンスターはエンドフェイズ時に デッキに入れ、シャッフルする
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個人的大プッシュアニメのコミカライズ作品。作者は前作でもこうしたお話と相性のいい方らしいので、それなりの期待と不安で雑誌連載の絵柄を見たところ・・おお、なんという忠実さ!しかもayakasiの「化猫」ストーリーとは!というわけでちょこちょこ立ち読みしつつ、コミック化を待ち望んでついに購入。 いやあ、.薬売りさんきれいだわ。アニメの絵柄とほぼ一緒ということで特に違和感もなく。もっと言えば「アニメを漫画のコマ割りにしました」...と言ってもいいほどの再現度。 表紙だけで買ってもいいですね。よ。ャラの顔、背景の書き込み、世界観の出し方、それらは突っ込むポイントはほぼないです。唯一残念で、しかし多分どうにもならないだろうと思うのがキャラの主線の細さ。 アニメでも「キャラと背景の区別をなくす」ために線の太さを同じにしたという話は聞いています。しかし、動きのあるアニメだからこそ実現できた手法。書き込まれた背景と同じ線で描かれた「動かない」漫画の世界では、「見づらい」だけなのです。主線が細くとも人物を浮き立たせる手法は多々あとは思うのですが、それが1巻では見られなかったのは残念。オレの左手が美女を喰いまくる
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座敷童子編(1話・2話) 薬売り:櫻井孝宏 志乃:田中理恵 久代:藤田淑子 徳次:塩屋浩三 直助:竹本英史 若だんな:沼田祐介 座敷童子:日比愛子 1話 客:服巻浩司、山本圭一郎、佐々木亜紀、安田早希 2話 ザ・赤子:小松里歌 カップルの男:服巻浩司 カップルの女:佐々木亜紀 海坊主編(3話~5話) 薬売り:櫻井孝宏 加世:ゆかな 菖源:浪川大輔 源慧:中尾隆聖 柳幻殃斉:関智一 佐々木兵衛:阪口大助 三國屋多門:高戸靖広 五郎丸:竹本英史 海座頭:若本規夫 岩井師範:平井啓二 お庸:池澤春菜 退魔の剣:竹本英史 4話 海座頭:若本規夫 岩井師範:平井啓二 女:佐々木亜紀 5話 お庸:池澤春菜 退魔の剣:竹本英史 のっぺらぼう編(6話~) お蝶:桑島法子 仮面の男:緑川光 お蝶の母:真山亜子 亭主:竹本英史 姑:上村典子 弟嫁:佐々木亜紀 義弟:岡本寛志 奉行:福原耕平 作品一覧 ま行 アニメ一覧:ま行?
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